他部署を経験し、育休を経て人事への異動を希望、配属されて一年半。人事経験は豊富ではありません。自分の担当領域以外のことも、もっと知りたいという思いがありました。様々な書籍を参考にしていた中で、坪谷さんの書籍が本当に読みやすく人事全体を網羅していると感じて、 何度も読んでいたんです。だから塾の募集をたまたま見かけたときは、これだ!と、その幸運がうれしかったです。
でもいざ参加した当初は、とても緊張しましたね。最初は、「正しい答えを言わなくちゃ」という答え探しの意識が強かったし、そしてそれゆえに自分の「意志」に重きを置く大切さも分かっていませんでした。他の参加者の方は、何年も人事をやられている方もいたし、業種も様々。参加してるからには役に立ちたい気持ちがあるけれど実際できるかな、という不安もありました。
でも、回を重ねるたびに、人事の仕事は答えがないものにあふれていて、だからこそ、その人固有の見ている視点・言えることがあり、自分もそうなのだとじわじわと思えてきました。それは、いろいろな立場の人がいるから対話や思考が深まること、それぞれの人の意志の多様さを、どの場でも感じたからです。
実は、以前ほかにも人事関連のオンラインコミュニティに入ったこともありましたが、内容が人事領域の一部に偏っていること、情報の多くは一方通行だったこと、特定の領域・業界のhowが多いことから、自分が求めている場所ではなかったと、抜けた経験がありました。
壺中人事塾では、個別具体のhowではなく「原理原則」「あり方」を深める形式です。全員参加型の対話が多く、その中で自分の意見とその意見に至った背景や個人の価値観を語ります。みなさんの問いと意見を、自分もその場に混ざりながらシャワーのように浴びる中で、自分と他者との違いが浮き彫りになっていくのはとても刺激的で、考え込むこともありましたが、糧になりました。3ヶ月かけて「持論をもつ=唯一の正解はない」「意志を持つ大切さ」がじわじわ腑に落ちて行きました。この体験は、メンバーが日々実務に追われる実際の職場では、なかなか得難いものなのではと思います。
週一回の研鑽会は、「グループコーチング」というチームで学びを深める時間だったのですが、ここで使用していた振り返りの様式が、書きやすく、かつ負担も重すぎないため、受講を終えた今も個人的に使用しています。自分の仕事を安定して振り返り、内省する1つの「型」を見つけることができました。振り返りの大切さに気づき、習慣化できたことも、参加して得られた大きな変化です。
また大きなこととして捉え方が変わりました。「自分自身・他者・自社・人事という仕事」それぞれに対して、以前より多様な見方ができるようになりました。
私は小さな子どもがいて、時短勤務をしています。原理原則を体系的に学んでから、自分の手足を動かして実践することで血が通う=学んだことを実務に生かすこと、がとても重要です。しかし実践の機会は、単純に仕事の時間だけでみると多くない、という悩みを抱えていました。
学習会の後の放課後のような時間に、坪谷さんにこの悩みを相談させていただいたことがありました。その際、坪谷さんがしてくださった「捉え方」に関する2つの話がとても印象に残っています。
1つ目は、学びを実践する場所は必ずしも「仕事」の中だけには限らず、物事全体に通ずる「自分のあり方」が大切だ、ということです。今自分がここにいるからこそ意味のあること・できることは何だろう、目的・役割はなんだろう、と問うこと自体が実践のひとつ、と考えることができると気付きました。2つ目は、ドラッカーの「成果は組織の外にある」という言葉を紹介いただき、「組織の外っていうのをどこに置くかっていう話にもなりますね。」とアドバイスいただいたことです。ハッとしました。私が自分のできる範囲を諦めずやっていく、家族・子にその頑張ってる姿を見せるというのも、一種の組織の外=次世代の未来へ繋がる、小さいながらも成果かもしれないなって。そういう見方をしてもいいかもしれないって思えたんですよね。
現状を受け入れつつも、いつでも変わろうと意志を持つことができる、さてではどうする?という問いは、自分自身だけでなく、人事の仕事、組織への関わり方も、同じではないかと思えました。
壺中人事塾のみなさんとの対話は、私にとって今までにない体験でした。また迷ったらこの3か月間で得た気付き・問いに戻ってみよう、と原点の一つを持ったような気持ちです。
壺中人事塾は、社名と実名を伏せた状態での参加と設定されていることで、対話がよりいっそうフラットに双方向になります。個別の環境が、議論に影響しにくい仕組み・場づくりになっているので、よりいっそう「自分はどうありたいか」という本質に意識を向けることができると感じます。そのような「そもそも」や「本質」が好きな人には特におすすめです。
今の目標は、自分の担当領域にさらに丁寧に向き合うこと、そしてひとの力がもっと生きる場づくりを続けていくことです。ひとりひとりが自分のあり方や理念を磨くことができ、そこから力を発揮し、実るような場をつくること。それが私の人事としての自分の軸=持論です。
© Kochuten Co., Ltd.