研修講師や研修を作る部署にいたのですが、1年半前に人事に異動になりました。人事に関わるということで、体系的・網羅的に学びたいと「人材マネジメント入門」「組織開発入門」を読んでいたんです。人事の管理職としての異動だったので、改めて人事について学びたい、と考えていたタイミングで壺中人事塾の募集があり、申し込みました。
マネジメントの仕事はしてきていたのですが、人事という領域の細かいことは知らないことが多く、メンバーに頼ることはできるのですが、何か決めていく時に、やはり知識を身につけたいと思っていました。
入ってみたら、壺中人事塾は、知識を身につける場ではなかったんですよね(笑)でも、だからこそ改めて、人事としての知識の深さより、大切なことがあるな、と気付かされた感じがしました。
知識をもつことも大事ですが、「何のためにこれが必要なんだろう?」とか、「何をベースに意思決定すればいいのだろう?」という自分なりの思考がより大事なことなんだな、と研鑽会や対話会などの学びを通して感じました。マネジメントとしての意志決定って、合理的な世界と意志の世界があると思っていたんですが、後者の世界では、自分が問われるな、と感じていたんです。自分の意志とか勇気、信じるものみたいなものが出てくるな、ということを思っていて。人事においてそれをする時に、「何をよりどころにしていくか」みたいなことが、壺中人事塾に参加することで作られていった感じがあります。壺中人事塾では、「私はこう思う」ということを、お互いに伝え合う環境がとてもよかったです。他の参加者の方の声に共感するものもあるし、逆に全然自分と違う視点に気付かされることもありました。何より日常の中で「あなたはどう思いますか?」と問われない、普段そこまで自分が思ったことを話す機会がないということにも気づきました。なので、自分の考えを伝えるという行為そのものが、自分を理解し、自分の意志をもつきっかけになりました。
特に印象に残っているのが、自分たちで問いを出し合う対話会で、「人事としてどこまで社員に寄り添うのか?」ということをみなさんに問いかけたんです。一人ひとりに対してできる限り気持ちを向けたい、寄り添いたいと思う一方で、辛いことや相談を受け続けられるかというと、そんなに背負えない。そんな葛藤があったんです。それまで「淡々とやったほうがいい」というようなことを言われたり、「思い入れをもつとキリがなくなる」と言われたり。でも何か違和感があって。人事塾の対話の場で、みんな本当は寄り添いたいと思っている、でも難しく思っているというみなさんの葛藤の話を聞きながら、やっぱり私は全員に意識を向け続ける人事でありたい、と思ったんですよね。そしたら、その背中を坪谷さんが押して下さって。自分の中で、これから人事をしていく上で、できるかどうかは別として、大事にしたい方向性はこれだな、ということを強く感じた時間でした。人事部長として、人事として、一人ひとりが大切にされて、能力を生かして働ける環境を作りたい。そのために、一人ひとりと向き合いたいと思っています。日々のコミュニケーションも意識しているし、部署に関係なくいつでも話したい人はどうぞ、とオープンにしています。それも、人事として社員一人ひとりを大切にしたい思いがあるからだな、と再認識できました。
自社のことだけみていると課題だらけだと感じていたことも、他社の話を聞いたり、参加者のみなさんのフィードバックを聞いたりすると、視点が変わったり、自社のよさに気づいたりしていくということもありました。それに気づくと冷静に起きている出来事を見られるようになりました。人事としての自分のありたい姿の方向性が見えたことで自信になりましたね。
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