コミットできる組織目標
勉強会参加者の問い
今回はテーマ7.組織開発について、リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所の荒井さんからの質問です。
組織の共通目標を設定し、内在化して進めていくための組織開発手法を、具体的に知りたいです。
実際の事例1
まずは私(坪谷)から実際の事例を共有しました。自社内の数チームをこんな形で進めています。形式としては2時間のワークショプです。
- 上位組織の目標を、上位組織のリーダーから示し、チームへの期待を伝える。(例:部の目標を部長から示し、課への期待を伝える)
- チームリーダーから1をふまえて自チームの目標のタタキと、なぜそうしたいかを示す。(例:課長から課の目標のタタキを示す)
- 個人ワーク:2への共感(ここいいね!)・疑問(どういうこと?)・追加提案(これもやりたい!)をそれぞれ付箋に3つ以上ずつ書き出す。
- 4-5人のグループワーク:3の付箋をグルーピングしてまとめ、その内容を想いとともに他グループへ共有する。
- リーダーは4で上がった疑問を可能な限り解消し、追加提案をどう目標に反映したいか(しないか)を話し、チーム目標の方向性を、意志を込めて伝える。
- 上位組織のリーダーが「ぜひこれを進めて欲しい」と確定して場を締める
- このワークで作ったチーム目標を議論の経緯が見える模造紙と付箋ごと壁に貼りだす。
- それぞれのメンバーの目標は、このチーム目標と本人の追加提案をベースに立てる。
実際の事例2
次に医療系の企業で人事をしている大楠さんの実事例です。全社横断研修、3ヶ月間のプログラムを実施しています。
Day1
全社員シャッフルで会社のミッションの解釈を揃える研修
Day2
事前に課題図書を読み込んだ上で、部門別に自部門のビジョン策定
Day3
リーダーが主体となって戦略原案を持ち込みメンバーとディスカッション
Day4
部門別に事業責任者に戦略プレゼンし承認を得る
ポイントの整理
事例を元に議論を進め、荒井さんはこうまとめました。
組織目標を立てる際のポイントは、それを自分ごと、皆んなごとにできるかどうかだと改めて感じました。
そのプロセスのポイントは以下のとおりです。
- リーダーからミッションを伝える
- 各メンバーが自分の頭で再解釈する
- みんなで共有して共通見解化する
- 人に伝わる形まで編集し磨く
- リーダーによる確定
サイバーエージェント社の事例も参考になりました。自組織目標を皆で議論し、キャッチフレーズやデザインに落として面白く伝えるコンテストを行っています(人事曽山さんのブログ記事『組織目標を全員で考える』参照)。

次回も組織開発への問いです。
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