Q10.異動・転勤する人をどう支援すれば良いか?

異動・転勤者の適応支援

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勉強会参加者の問い

今回も勉強会参加者からの質問をとりあげます。リソースフロー、異動については『異動は適材適所を目指すもの、個と組織の信頼が問われる』という記事をベースに考えました。

リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所の荒井さんは、こんな問いを持ちました。

異動による適材適所をどうやって実現すればよいのでしょうか?

異動者の募集や選定異動者の適応支援について、うまくやっている事例を知りたいなぁ。(*´ω`*)ゞ

また同社の人事、中原さんも。

共働き・介護など働く人の制約条件が増える中で『転勤』はますます難しくなると思います。これからどう変えていけばよいでしょうか?

さて、これからの異動、転勤はどのように行われるべきなのでしょうか。

 

異動者の募集と選考の施策例

まず、異動者の募集と選定については荒井さんがいくつかの事例を示してくれました。

異動は会社都合と個人希望全社最適と部門最適という両立し難い葛藤の中で行われます。本人、異動元の上司、異動先の上司、事業部人事、全社人事、それぞれの立場によって葛藤の比重は変わります。

各社の異動施策の特徴を見分けるポイントは『異動元の上司』の関わり方です。直近の業績責任を負い、部門最適を強いプレッシャーと共に担う彼らは、フラットに適材適所を考えることが難しい立場に置かれています。

異動元の上司に異動の拒否権を与えない人事主導のローテーションや、個人希望優先のFAは、異動元の上司からすると本当に辛い施策です。しかしそれは複雑な責任を剥がし、業績と部門最適に集中して欲しいという会社からのメッセージでもあるのです。

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異動者・転勤者の適応支援

実際に異動、転勤になった社員をどのように支援すれば良いのでしょうか?

適応難易度を決める3要素

医療系企業の人事で、元リクルートキャリアの人事である大楠さんは実践経験からこう教えてくれました。

異動範囲の大きさ(職務×場所)」「本人の過去異動回数」そして「上長の関与度」を適応難易度の要素として捉えていました。

まずは異動範囲です。仕事内容が変わるのもしんどいですが、住む場所も変わるとプライベート含め環境(関わる人)が変わるので倍の苦労がかかります。

次に異動回数です。異動が少ない人ほど年齢に関係なく適応に苦労しやすいようです。

最後は上長の関与度。私自身、9年間で9回の異動を経験してますが、結局は上長次第だったなあと思います。

ある部門では部長の目標に異動者との関わりを項目として入れていました。

ナナメの関係・OFFの繋がり

同じくリクルートキャリアの『のりおさん』こと柴田教夫さんに、以前インタビューさせていただいたことがあります。のりおさんはリクルートに入社して35年目。大きくなる同社の中でメンバーたちが孤独にならないよう「ナナメの関係」を作る後押しをしている方です。

日々社内をブラブラして知り合った社員を呼ぶ「のりおを囲む会」と称した飲み会を月に1回開催しています。延べ1,000人以上が参加したこの会から生まれた繋がりは多いのではないでしょうか。

私(坪谷)は、のりおさんからこの話を聞いてピンときました。私もこういった緩やかなOFFの繋がりに救われた転勤者だったからです。

大阪でコンサルタントをしていた私は突然東京への転勤を命じられました。慣れない人間関係とうまくいかない仕事と単身赴任に疲れ果てていた時、先輩に『浜プロ会』に誘ってもらいました(それは事業企画の口さんと東京駅前のプロントで飲むの略でした)。

「隔週の水曜は必ずここで飲んでるから、いつでも顔だしてね」と浜口さんが笑顔で言ってくれたことが、当時の私の心の支えになりました。プロントに行けば歓迎してくれる仲間たちがいる。安心してビールを飲み干した時「ああ、自分は東京に居場所がないことが辛かったのだな」と気づきました。浜プロ会は、私と会社や仕事を繋げてくれただけでなく、人間としての居場所を与えてくれたのです。

その経験からも『OFFの繋がり』が異動・転勤者の適応支援に実は最も効くのではないか、と考えています。汎用的な人事施策には落とし難くはありますが、できることはありそうです。

アカツキの人事企画室WIZでは、社内の誰でもふらっと立ち寄れる『ふらり横丁』という宴会を、月に一回開催しています。

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のれんをくぐると、バーカウンターにはベテランメンバーたちが。皆の話を聞こうと待ってくれています。

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テーマ5.リソースフロー

次回はテーマ6.人材開発についての質問です。

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