評価力を高めるフィードバックのやり方
勉強会参加者の問い
勉強会の問いシリーズ、6回目も前回に引き続き評価に関する質問です。
評価力が高い会社は、どんなことをしているのでしょうか?
人事が優れている会社の事例はよく聞きますが、評価単体で考えるとどうなのか?と考えてこの問いになりました。
これはアフリカでスタートアップを行なっている赤石さんの問いです。
評価力とは何か?
他の参加者からは、こんな質問が重なります。
評価力とは何を指して言っているのでしょうか?
この議論では以下の3点を恒常的に高いレベルに保てることを評価力として扱うこととしました。
- 業績に結びつける力
- 公平感を持たせ納得させる力
- 中長期で人が育つ力
赤石さんは3社のコンサルティングファームに属していましたが、その経験から、仕組みや運用に大きな違いがあるわけではない、しかし業績、公平感、人が育つ力には明確な差があることに気がつきました。
評価力の差は関係性の差
その違いは評価者(上司)と被評価者(部下)の関係性から来ていました。以下が赤石さんの結論です。
何の変哲も無い結論で恐縮ですが、やっぱり評価者と被評価者の間の関係性、もっと突っ込んで言えば、その人を好きになって、良いところもそうでないところも一所懸命探しているような関係性ができている企業であれば、仕組みなどによらず評価力は高いと言って良さそうです。
それを受けて医療系の人事をしている大楠さんはこう言います。
赤石さんのアウトプットが一周回って本質に落ち着いた感じに見えたのでとても参考になりました。
そう考えると、仕組みとしては直接の評価制度ではない「人材開発会議」や「360度フィードバック」などの、互いの人間性を知る機会、伝え合う機会も、実は評価力に効いていたのでしょうか。
そう、関係性を高める機会はすべて評価力につながります。そして、それは直接的には相手へのフィードバックのシーンだと話は進みました。
関係性・評価力を高めるフィードバック
リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所の荒井さんはこう言います。
フィードバックで特に覚えておきたいことは、相手への関心と尊敬を土台にすることと、自らが積んできた被フィードバック経験が生きることです。
また『フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術 (中原淳著,2017)』の内容が非常に参考になりました(以下は荒井さんが当書を要約した内容から、ポイントを抜き出し加筆したものです)。
関心と尊敬が信頼の土台となる
重要なのは関心、そして尊敬です。相手へ関心を持って日々の様子を見ていること、そして尊敬の念を持ち成長を願っていること。それが信頼の土台となります。
向き合えるのは5〜7名まで
腹を括って伝えることは、この土台がなければ困難です。いや土台があってもストレスフルなのは間違いありません。本気で向き合える人数は5~7名。それを超えたら中堅社員をリーダーとして階層化を検討するタイミングです。
自分のフィードバックを知る
あなたのフィードバックは、自分がフィードバックされた経験からできています。あなたが「普通こうでしょ」と思っていることの多くは、これまでの上司からの影響であり、前の職場の文化の影響です。しかしそれが一側面からの見方でしかないことを本人が自覚していていることは稀です。
自分のフィードバックを見直しましょう。そのためには自分もフィードバックを受けること、ファシリテーターが入って相互フィードバックを行う(リクルートのLDPもその一つの手法です)ことが有効です。
まずは、自覚から。

次回も、勉強会参加者の問いが続きます。テーマ4.報酬について。Q7.外的報酬と内的報酬の最適なバランスは?です。
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