個人も組織も幸せになる目標設定
勉強会参加者の問い
勉強会の問いシリーズ、5回目はテーマ3.評価についての質問です。
組織における目標とは「自分がやりたいこと」でも「与えられたノルマ」でもなく「握手する」ものとのことでしたが、個人と会社のよい「握手」においては、どのような目標を設定できるか、特に目標をどう創造するかが肝だと感じました。
自分も会社もハッピーな目標設定ができるようになるために、個人と会社はそれぞれ何ができるのでしょうか。
リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所の荒井さんからの質問です(荒井さんはいつもこのブログにかえる君を描いてくれています)。
それでは、この勉強会で議論した内容を見てみましょう。
目標は何のために立てる?
議論の中でこんな意見が出ました。
ビジネスの変化が激しい場合、目標自体の抽象度が高まると、適切な評価には至らないことが多いではないでしょうか?
それに対して、ヘルスケアのスタートアップを行なっている赤石さんは、Google社などの事例を上げて、目標設定の「変数」を指摘しました。
- 期間(スコープ)
- 目標の種類(成果・プロセスなど)
- 対象(個人・チーム)
- 評価方法(業績・プロセス指標)
- 見直し頻度の在り方
目標設定時に、メンバーと認識を改めて合わせた上でこの5点を設定し、都度の1on1(大抵週一回)と中間面談(6ヶ月の目標であれば、3ヶ月後など)で振り返りタイミングを設け、都度修正していくことが重要だと、議論は進みました。
しかし、目標管理MBOの肝はself-controlです。こんな意見があがります。
抽象度が高いと「適切に評価できない」というのは、ちょっと管理側に意識が寄っているのではないでしょうか。
目標設定は何のために行うのか?その考え方の前提を、個人と組織の間で揃えることが、何より大切なのかも知れません。
さて、以下の3点が、今回の勉強会の結論です(荒井さんが整理してくれたまとめに加筆して掲載しています)。
❶目標について考え方の「前提」を揃える
目標を設定するにあたり、まず個人と組織でその考え方の前提をすり合わせます。ここがズレてしまうと良い協働は生まれません。
- 個人と組織は協働者である(搾取する敵対関係ではない)
- 目標設定は良い協働関係を結ぶために行う(一方的にノルマを伝えるものではない)
- 目標設定面談は互いの考えを机上に出し議論するためのプロセスである(単に労働条件を確定する場ではない)
❷何をしたいか「意志」を伝える
次に、目標設定にあたって個人と組織は、それぞれ何をしたいか、していきたいか、その意志を伝える必要があります。
組織からはビジョン、ミッション、理念、組織目標、戦略。個人からは夢、キャリア、いま取り組みたいこと、を目標設定の俎上にあげます。お互いに日々伝えあっていて、面談の席では前提となっている状態がベストです。
❸「貢献」と「期待」をすりあわせる
最後に、個人は組織に何を貢献するのかを、組織は個人に何を期待するのかを考え、お互いにすりあわせます。
個人は、組織へのコミットメントは何か、貢献の対象と内容を磨きます。チーム、部署、会社全体へ、今期自分は何を与えるのでしょうか。
組織は、個人に何を期待するのか、その期待に応えてもらうためにどのような支援を行うのかを伝えます。特に上司が自分の言葉で語ることが重要です。

次回もテーマ3.評価への質問です。適切なフィードバックについて考えたいと思います。Q6.評価力はどうすれば高くなる?
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