本の読み方 -本を読まない人からの不思議な質問に答える-

本の読み方

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本を読まない人からの不思議な質問

本を読んでいると、質問されることがある。
「どうしてそんなに沢山の本を読めるんですか?」
「どうやって読む本を選んだら良いんですか?何の本を読むべきか、わからないんですよ」
「読んでもなかなか頭に入らなくて。どうやって読めば良いでしょうか?」

1人や2人ではない。これまでかなりの数の人が私に発した問いである。どこまで本気で知りたいのかはわからない。この人は本が好きそうだから、興味を持ってますよ、という社交辞令として言ってくれただけかも知れない。

しかし、与えられた問いに真摯に向き合ってみたい。なぜなら何気ない問いの裏側に、その人の生き方が垣間見えるからである。さあ、それぞれの問いに答えてみよう。

 

問1.どうしてそんなに多くの本を読めるのか?

不思議な質問だ。
回答は、そこに時間を使っているから、である。他にどんな答えがありえるのか(速読かな?)。自分の時間の集合が自分の人生なので、時間をどこに使うか、は、どう生きるか、と近い。そしてどう生きるかはその人の自由だ。私は好んで多くの時間を読書に費やしているのである(学者ほどではないと思うが)。

この質問の背景を想像すると「本を読まなければならない」という謎の強迫観念があるのではないか。嫌がる子供に勉強を押し付ける日本の教育の弊害かもしれない。

当然のことだが、読みたければ読めば良いし、他のことをしたければ他のことに時間を充てれば良い。スポーツが好きな人はそこに人生を使うだろう、しかし私はそこには時間を割かない。他にもテレビ、宴会、晩酌、賭博、買い物、ドライブなどには私はあまり時間を充てない。それよりも本を読むことを優先する。

大人なら、自分の時間は自分でコントロールできる。それは難しいことではない。コツもない。ただやるだけだ。質問の前提に「自分を自分でコントロールすることは、決してできないはずだ」という何か強い意志を感じる。それはとても不自由である。

 

問2.何の本を読めば良いか?

これも奇妙な質問だ。
読みたい本がなければ読まなければ良いだけではないか。やはり「本を読まなければならない」という幽霊に取り憑かれているように思われる。

読書というものは、対象の本がなければ、なりたたない。恋人が欲しいが相手がいない、という状態に似ている。好きな人がいないなら、無理につきあわなければ良い。相手にも失礼だ。

通常、読みたい本は連鎖する。何かを一冊読んで面白ければ、そこから派生して何冊も読みたい本が増えていくはずだ。同じ著者の本をすべて読んでみる、参考文献をすべて買ってみる。図書館でその本の両隣にある本を読んでみる。私の場合は中学生の頃、筒井康隆を読んだところから、すべての連鎖は始まった

特定の領域の本を買い漁るのも楽しい。Amazonでその領域のキーワードを検索し、出てきた本をすべて買ってみる。私は人材マネジメントの本を定期的に検索してすべて買っている。

あとは本の装丁で選ぶのも良い手法だと思う(いわゆるジャケ買い)。鈴木誠一がブックデザインした本は美しい。見た目のみで本を買ってこれまでは外したことはない。

好きな本なら読めば良いし、好きではないなら無理に読まなくて良い。しつこいようだが、それだけのことだ。ただ、何が好きなのか自分の好みを自覚することは必要かもしれない。

あなたにとって必要な本には、必ずどこかで巡りあう。求めよ、されば与えられん。その出逢いこそ読書の醍醐味である。

 

問3.どう読めば良いか?読んでも頭に入らない

そんなはずはないだろう。
日本の識字率は99.8%だ。少なくともこうやって日本語で質問してきて会話できているではないか。

やはり子供の頃のお勉強の弊害を感じる。大人になった今でも、暗記してテストに答えられるようにならなければ、と思いこんでいるのだ。

テストは、ないのだ。もう怯えなくて良い。

そもそも読んだ本を記憶する必要がいったいどこにあるのか。読んで楽しかった、それで終わって良いではないか。

頭に残らない本は、あなたにとってそれだけの内容だったのだ、とも言える。自分にとって必要なものは必ず頭に入っている。忘れてしまうものは忘れてしまえば良い。もう少し自分のセンサーを信じてはどうか。

味わおう。暗記するのではなく。その本は一冊でひとつの文脈を持つ世界である。頭に入れるのではなく、腑に落とすのだ。

味わい方には、コツがある。それは本をなるべく汚すことだ。線を引く(できれば多色)、書き込みをする、落書きをする、ペンがなければドッグイヤーをつくる(ページの端を折る)だけでも良い。

あなただけの味わいが記録され、あなた色に染まった本。その本の世界にあなたの世界が混ざる。こうなると、その本のことは忘れ難い。何年かしてページをめくると、当時の自分とともに本の世界が立ち上がってくることだろう。

 

本の読み方 -私の主張-

まとめると、こうだ。

  • 好きなことに人生を使おう
  • 時間はコントロールできることを知ろう
  • 自分の好みを自覚しよう
  • 巡りあう出逢いを楽しもう
  • 自分のセンサーを信じよう

世界をじっくり「味わう」ことが何より大切だと思う。

本は、怖くないよ。

17D383B2-19A2-4AF3-B511-AD195DBA9FE4.png私のお伝えしたいことは、以上です。