須田敏子『HRMマスターコース 人事スペシャリスト養成講座』を読む

欧米のHRM理論を体系的に理解できる本

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日本のHRM本の多くは理論がない

日本で出版されている人材マネジメント・HRMの本は、多くがソフトバージョン(人のモチベーションのためのHRM)に片寄っていてハードバージョン(戦略のためのHRM)が少なく、しかもその理論的な裏付けがない。

そんな中で、この須田敏子『HRMマスターコース―人事スペシャリスト養成講座』は本当に貴重な一冊だ。

 

欧米のHRM理論の体系的な紹介

この本ではイギリスのHRMマスターコース(大学院)で教えていることを紹介してくれている。「日本には体系的にHRMを学べるマスターコースがない」ことが筆者の問題意識で、欧米では人事の基礎知識でもあるアカデミックな内容を、ときに日本との比較を交えながら分かりやすく解説してくれている。

「人材マネジメントの壺」での利用

この本との出会いがなければ、この壺中天「人材マネジメントの壺」は生まれていなかっただろう。引用も一番多い。下に参考にさせていただいて書いた記事をまとめておく。

テーマ1.HRM

「人材は代替可能なモノではない」労務管理から人材マネジメント(HRM)へ

「人」と「事」の両立が 「人事」という仕事

環境に「適応」して施策が「一貫」した人材マネジメントは効果が高い

マネジャーの仕事は、メンバーが最高に貢献できる「環境の創造」である

テーマ2.等級

日本の職能資格等級は人の「意欲」を喚起する使いやすいが曖昧な仕組み

アメリカで差別抑止のため広がった「職務」等級は、人を見ない合理的な制度

テーマ3.評価

日本の歴史上、行動を見る評価手法に決定打はない

公平感と意欲は、積み上がった信頼関係の上にあるもの

テーマ4.報酬

報酬とは働くことによって得られるものすべて。内的報酬は満足を生み、外的報酬は不満をおさえる

日本企業の賃金は、世界で類を見ないほど複雑で有機的である

テーマ5.リソースフロー

人が足りないときは採用する、育成する。余ったときは減らす、定着させない。そう、理屈ではね

「自分を高められる環境」がプロフェッショナルに効く定着施策である

「成長の可能性」「即戦力」「価値観への共感」採用は人材要件を明確にすることから始まる

テーマ6.人材開発

人材開発とは、ビジョンや戦略達成に必要な人材を育てること、そしてビジョンや戦略を生み出す人材を輩出すること

OJTとは先輩から仕事を通じて学ぶこと。先輩に知識がない、余裕がない、放ったらかし、で失敗する

Off-JTは効率的・体系的・多角的な学びを非日常の中で得るもの。型や文化の継承が期待される

以上