解雇が抑制され定年も伸びていく日本企業、代謝は働く個人の意志に委ねられている

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代謝

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テーマ5の最終回はリソースフローの出口、代謝について考えたい。社員が会社を辞める「労働契約の終了」について、日本企業のこれまで、いま、これからを追ってみよう。

代謝のこれまで

雇用を守る

日本企業の労使は、1950年〜1960年代に大量解雇を巡って激しく対立し、深刻な混乱を経験してきた。その後、雇用調整を円滑に実施するためのルール作りに努力し、その中で次のような方針を形成してきた。

  • 経営者は、解雇はできる限り回避し、内部調整政策を積極的に活用する。
  • 労働組合は、解雇を回避するのであれば、配置転換などの雇用調整に協力する。

段階的な雇用調整

労使の方針にしたがって、雇用調整策は一般的に、温和な方法から厳しい方法にむかって段階的 に進む。

  1. 残業時間削減(労働時間調整)
  2. 採用抑制(欠員補充しない)による自然減+配置調整、応援、出向の内部調整
  3. 非正社員の契約更新を停止する「雇止め」もしくは就業を一時停止する「一時帰休」
  4. 希望退職募集もしくは整理解雇

定年制と退職金

定年制は、労働者が一定の定められた年齢に達したときに、労働契約が自動的、画一的に終了して退職となる制度。雇用調整定年までの雇用保障を目的としている。日本の終身雇用を支えてきた。定年まで勤め上げた人に退職金が支給されることでさらに基盤は強固となる。

年齢という動かしようのない基準によって 行われるため、明確で公平性の高いしくみだが、アメリカでは1967年に「年齢差別禁止法」が制定されており、定年制は年齢による「差別」だという指摘もある。

代謝のいま

いま日本企業の代謝には2つの大きな流れがある。雇用延長と早期退職だ。歳をとっても働けるし、早く辞めても優遇される環境になりつつあるのだ。

60歳以降の雇用延長義務化が進む

  1. 定年の延長
  2. 再雇用・勤務延長(継続雇用)
  3. 定年制の廃止

企業はいずれかを選択しなければならない。2は本人が望むなら全員に適用となった(2013年より)。

早期退職者制度

中央労働委員会の「平成27年退職金、年金及び定年制事情調査」によると、早期退職優遇制度を導入している企業は約51%である。

選択を本人にゆだねることで、企業がコントロールできず、予想以上に辞める辞めて欲しくない人が辞めるといった問題が起きている(辞めて欲しい人に水面下で働きかけ、逆に信頼を損ねるといった問題も)。まずは期待される成果と自分の役割を明確に理解させてから導入する企業もみられる。

代謝のこれから

これから働く期間は伸びていく。入社してから50年間、ひょっとするとそれ以上になる。「10年で1人前」とすれば、サードキャリア、フォースキャリアが当たり前の時代となる。

会社が多様な働き形を用意することも必要だが、それぞれの個人が自らの適性を考え、自らの働く場を開拓し、プロフェッショナルとして意志を持って動くほうが現実的かつ理想的だ。

個人が、どれほど深く考えられるか、考えたことを試すことができるか、が問われるのだ。そして企業には、それを邪魔せず成長できる環境を用意できるか、が問われる。

代謝とは、古い細胞が新しい細胞に入れ替わる、生命にとって必要な機能である。解雇が抑制され、定年制の効力も弱まり、日本企業はその機能が担えなくなってきた。自浄作用は、働く個人に委ねられているのだ。

これでテーマ5.リソースフローは終わり。次回からはテーマ6.人材開発について考えていきたい。

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テーマ5.リソースフロー

参考文献