報酬とは働くことによって得られるものすべて。内的報酬は満足を生み、外的報酬は不満をおさえる

報酬とは何か

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報酬とは働くことによって得られるものすべてだ。

リクルートでは「仕事の報酬は仕事」という言葉がよく使われているが、金銭だけでなく、仕事そのものも報酬である。

田坂広志『仕事の報酬とは何か』によれば、仕事の報酬は、能力、仕事、成長である。

そう捉えると人材マネジメントにおける報酬とはタッチポイントの設計である。納得感ある評価によって給与を公平に分配することだけではなく、組織内に魅力的な仕事を生み出し、適切に異動配置、アサインすることも重要になる。

報酬は大きく2つに分けられる。内的報酬と外的報酬である。

内的報酬は満足を生む

内的報酬とは、仕事そのものから生まれる報酬だ。仕事のやりがいがある、キャリア開発の喜びを感じる、職場の仲間や仕事で知り合った人たちとの人間関係から得られる社会的満足などである。

内的報酬の基礎としてハーズバーグの動機づけ・衛生理論を確認しておこう。

F・ハーズバーグ「動機づけ・衛生」理論

  • ホワイトカラー(技術者と会計士)約200人について仕事に関する態度や満足感について 面接調査を実施。
  • 動機づけ要因(仕事の達成・上司や仲間の承認・重い仕事を任された責任・成長の実感) は、仕事をやり遂げる過程や成果のフィードバックが人々を内発的に動機づける力となりえる。
  • 衛生要因(給与条件・福利厚生面・オフィスの執務環境・上司のリーダーシップへの信 頼・職場の人間関係)は、モラールの底辺を支える保障的条件となる。

外的報酬は不満をおさえる

外的報酬は、外から与えられる報酬である。給与や昇進、昇進による秘書の付随、社会的な地位があがる、など。ハーズバーグの言う衛生要因に近い。

ブルームの期待理論やローラーの道具理論などの外的報酬についての理論は、現実にどこまで予測性があるか疑問は残るが、「公理」として知った上で人材マネジメントを見直すことには意味がある。

ブルーム「期待理論」とローラー「道具理論」

外的報酬とモチベーションの関係を解明する研究。成果や報酬の魅力(誘意性)と、行動が報酬に至る見通し(道具性)との掛け算がモチベーションの力となるとした期待理論と、その理論を展開し、期待を(努力→成果)と(成果→報酬)に分けて考えた道具理論。

外的内的どちらかではない、両面を見る

近年では、エドワード・L・デシ「アンダーマイニング効果」から外的報酬をつけることで内的報酬が阻害されることが指摘されている。つまり好きでやっていた仕事にお金が払われることで意欲が下がる、ということだ。

これに対して角山剛は「目標と報酬のないところにモチベーションは起こらない」でこう言っている。

外部の評価や報酬を起点として行動を起こす「外発的モチベーション」を軽視するのは間違っています。なぜなら、外発的モチベーションがきっかけとなって、内発的モチベーションが高まることがよくあるからです。(中略)多くの人は成果を評価され、昇給・昇進するうちに、仕事がもっと面白くなったり、影響力の大きさにやる気が高まったりするものなのです。経験の豊富な人事やマネジャーの方なら、そうした例を何度も見ていることでしょう。

そして外的が内的を阻害するのは、目標が受容されていないときだ、と主張している。目標が握手できていることが必要なのだ。

人材マネジメントの目的は、組織パフォーマンスの最大化だ。内的、外的の両面から報酬を捉えどうやってパフォーマンスを上げるかを次回以降考えていこう。

参考文献:
大沢武志『心理学的経営―個をあるがままに生かす
釘崎広光『トータル人事システムハンドブック』
須田敏子『HRMマスターコース―人事スペシャリスト養成講座

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テーマ4.報酬

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