人事評価において「公平に給与を決める」ことは目的の1/3でしかない

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人事評価の目的

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前回、人事評価は「やってもやらなくても同じ」という悪平等をなくすもの、と述べた。悪平等をなくすとはどういうことか?評価とは何を目指すものだろうか。

人事評価の目的3つある。

それは「1.公平な処遇の分配」「2.社員の活用と育成」「3.企業文化の醸成」だ。ひとつずつ確認していこう。

1.公平な処遇の分配

処遇の分配とは、宝の山分けのことだ。企業の利益(宝)は有限で、誰がどれくらい分前を貰えるのかは、とても大きな関心事だ。

公平に給与を決めること」は評価の大切な目的であると言える。(厳密には、処遇とは給与だけでなく、仕事のアサインや勤務地、福利厚生や椅子の大きさまで、社員への遇し方のすべてを含む。詳しくはテーマ4.報酬にて説明したい。)

そこには「公平」感が必要である。難しいのは「公平」とは与えるものではなく感じるものだ、ということだ。ここに「不満」が生まれる原因がある。

公平感については別で論じているので、ここではどんなに評価制度を精緻に組み上げても透明性を担保しても納得するとは限らない、という(企業人事からすると)恐ろしい事実だけをお伝えてしておく。

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Lady Justice ローマ神話 正義の女神 ユースティティア 天秤と剣を手にしている

2.社員の活用と育成

社員の活用と育成。実際の評価のシーンでは、これが忘れられることも多い(給与は決して忘れられないが)。しかし給与を決めて伝える「だけ」の評価は最悪だ。お上からの「お達し」となり労使間の感情的対立を煽る結果となるだろう。

評価は、一人ひとりがどうすれば活躍できるか、これからどう成長するべきかを検討し、異動配置アサインも含めて必要な援助を共に考えるためのものだ。現状をしっかり評価しなければ適切な活用や育成は期待できない

ここで重要なのは、上司(評価者)と部下(被評価者)双方の意識だ。マネジャーの仕事は、メンバーが最高に貢献できる「環境の創造」である。

しかし評価される側が諾々とお達しに従っているだけではプロフェッショナルとしての成長はあり得ない(「評価されるために働いているんじゃありません!」と叫ぶ方がまだ可能性を感じる)。

自己評価と上司の評価をすり合わせ、自分の価値発揮(貢献)とさらなる成長に向けて、上司や企業に必要な援助をリクエストすべきだ。

 

3.企業文化の醸成

釘崎広光「トータル人事システムハンドブック」によれば、「企業文化」とは、その企業が「価値がある」と考える一連の主要な特性のことで、「価値と規範の体系」「価値観や信念の集合体」である。

評価におけるフィードバックの積み重ねが企業文化を作っていく。「何を評価するか」は企業の重視する価値を直接的に表したものであるからだ。中長期的に見ると、組織にとって一番大切な目的はこれだ。

次回は何を評価するか、つまり「評価の対象」については考えよう。

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テーマ3.評価