HRMの目的は何か?
このテーマ1.HRMではこれまで、人材マネジメント(HRM)の歴史のはじまりや2つの側面という特徴、効果的に行うポイント、マネジャーという主体者について見てきた。
では改めて、HRMの「目的」は何だろうか?
ウルリッチのHRチャンピオン
ディビッド・ウルリッチは『Human resource champions(1997年 邦訳MBAの人材戦略)』でHRMの提供価値を以下の4つだと言っている。
1.戦略を達成する
2.生産性の高い組織の仕組みを築く
3.従業員のコミットメントとコンピテンシーを向上させる
4.組織の変革を実現する
守島基博の人材マネジメント
守島基博『人材マネジメント入門 日経文庫B76』では、人材マネジメントの役割は「人材を活用して、会社の戦略を達成し、さらに次の戦略を生み出す人材を提供すること」だと言っている。
より詳細に見たものが下図だ。「経営目標の達成」と「人間の価値向上」、それぞれに「短期」と「長期」があることが分かる。

人材マネジメントの目的
どちらの定義においても『人を生かすことで、短期、長期の組織の成果(パフォーマンス)をあげる』ことが謳われている。
さて、レオ・レオニ「スイミー」という絵本がある。
小さな赤い魚たちと一匹だけ黒いスイミーは、大きな魚に怯えて自由に泳ぐことができない。
スイミーは考えた。
いろいろ考えた。
うんと考えた。
「ぼくが、めになろう」
赤い魚たちは集まって魚の形となり、スイミーはその目となる。一匹の大きな魚となった彼らは、自由に海を泳げるようになる。
スイミーは、自分とメンバーの特性を考え、個を生かすことで組織としてのパフォーマンスをあげたのだ。これこそが人材マネジメントだろう(魚材?)。

次回は、人材マネジメントの設計思想について。
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「人材マネジメントとは何か?」
50社以上の人事制度を作ってきた元リクルートの人事コンサルタント 坪谷邦生と、リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所 主任研究員 荒井理江が、体系的に分かりやすく紐ときます。
人材マネジメント Human Resource Management(HRM)を、基礎から学びたい方、体系的に理解したい方、しっかり持論を形成したい方、頭の中に目次を持ちたい方にオススメです。
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